概要
1)インプット
①既存制度モデル・試行的事業モデルの実施要綱
既に実施されている既存・試行プログラムの場合、そのプログラムの実施要綱、実施マニュアルを入手し、分析する。国制度がある場合でも、都道府県、市町村の要綱がある場合があり、それらについても検討する。特に、その実践プログラムの事業内容、サービス提供組織、スタッフ構成に関する記述に注目し、検討する。
②関連するEBPプログラム、ベストプラクティスプログラムの知見、文献調査
取り上げる実践プログラムと同様のプログラムゴールを持つ、EBPプログラム、ベストプラクティスプログラムの文献や関連資料を収集、分析する。可能な限り国際的な文献データベースでの体系的な文献収集が望ましい(Web of Science, Medlineなど)。
それらプログラムのプロセス理論が記載されていれば参考にするとともに、プログラムの実施内容、サービス提供組織、スタッフ構成に関する記述に留意して検討する。
③プログラム関係実践家・利用者とのフォーカスグループ、意見交換会
④グッドプラクティス(GP)事例の現場踏査調査
1. GP事例の現場踏査調査の設定
既存・試行プログラムが実施されている場合は、GP事例に対する現場踏査調査を実施する。GP事例は、「プログラム関係者、利害関係者からの聞き取り調査(12-1-11)」や、「既存制度モデル・試行的事業モデルの実情把握調査(12-1-13)」に基づく、「グッドプラクティス(GP)事例報告書(12-1-32)」などによって、10事例~20事例程度を選定する。
現場踏査調査の設定方法は、「GP事例の現場踏査調査進め方ガイドライン(T001)」に記載してある。
2. GP事例の現場踏査調査のインタビューガイド、面接調査票の作成
全般的な作成方法は、「GP事例の現場踏査調査半構造化面接調査票、インタビューガイドの作成方法ガイドライン(T002)」に記載。面接票・インタビューガイドの実例は、(S001)(S002)などを参照。
「プロセス理論組織計画の作成(予備的プロセス理論組織計画)(21-3-31)」に基づいて質問項目を設定する。「予備的プロセス理論組織計画(21-3-31)」は、「既存制度モデル・試行的事業モデルの実施要綱(21-3-11)」、「関連するEBPプログラム、ベストプラクティスプログラムの知見、文献調査結果(21-3-12)」、「プログラム関係実践家・利用者とのフォーカスグループ、意見交換会(21-3-125)」などに基づいて作成する。
プロセス理論組織計画に関わる質問内容は、以下の項目を参考に設定する。
○支援専門職
- 支援に関わるスタッフをどのように選定したか
○チームアプローチ
- 支援を進めていく上で、定期的に開催するチームミーティングがあるか[開催頻度、開催時間]
- スタッフ間の情報共有の方法
- 支援方法をアドバイスできるスーパーバイザー
○生活支援サービス、保健医療機関との連携
作成した「予備的プロセス理論組織計画(21-3-31)」において重視し、かつ既存・試行プログラムでは、必ずしも位置づけが明確ではないプログラム要素(事業外の組織との連携、インフォーマル組織との連携など)については、GP事例の関係者から、その位置づけに対する意見を尋ねる。
既存・試行プログラムで位置づけが明確ではないが、予備的プロセス理論組織計画において設定するプログラム要素(「効果的援助要素」)は、国際的な水準で先行文献に基づいて設定されるものや、理論的な検討など、「関連するEBPプログラム、ベストプラクティスプログラムの知見、文献調査結果(21-3-12)」に基づいて設定されるプログラム要素(「効果的援助要素」である。
3. GP事例の現場踏査調査時の意見交換
現場踏査調査時には、面接票・インタビューガイドに設定された質問(T001)だけでなく、GP事例において設定しているプログラムゴールとの関係で行われる創意・工夫、配慮、改善のための努力、利用者に対するゴールに向けての動機付け、準備訓練の状況、既存・試行プログラムでは必ずしも位置づけが明確ではないプログラム要素に対する意見など、GP事例の実例に即して意見交換を行う。
4. GP事例の現場踏査調査事例報告書の作成
GP事例の現場踏査調査から戻ったら、できるだけ速やかに事例報告書をまとめる。
全般的な事例報告書の内容と作成方法は、「GP事例の現場踏査調査事例報告書の作成方法ガイドライン(T003)」に記載。
サービス利用計画に関連する事例報告書項目としては、サービス提供組織、継続的な包括的地域生活支援体制の構築、事例考察・コメントとしては、特徴的な取り組み・事業所のストレングス、より効果的な取り組みになるための課題、などがある。
⑤プログラムゴールと標的集団設定に関する報告書
取り上げる実践プログラムのプログラムゴールと標的集団設定に関する報告書の記述は、「Ⅰ1-1. ニーズ把握とプログラムゴール・標的集団の設定」の「プログラムゴールと標的集団設定に関する報告書(11-1-32)」にある。
⑥プログラム実施状況報告書、モデル浸透度、体系的実施状況報告書
取り上げる実践プログラムの実施状況、モデル浸透度、体系的実施状況に関する記述は、「Ⅰ2-1. 既存・試行プログラムの現状把握」の「効果的モデル構築のためのプログラム実施状況報告書」(12-1-31)」にある。
2) 検討方法
①プロセス理論組織計画検討の手引き
1. プログラム理論、プロセス理論組織計画について
プログラム理論とは、社会プログラムがどのように効果をもたらすのか、どのような要素が効果に影響するかに対して明確な見通しを与える因果関連やプログラム要素に関する一連の仮説群である。プログラムの効果に関するインパクト理論と、プログラム要素に関するプロセス理論からなる。個別プログラムに対してプログラム理論をよく吟味することにより、より良いアウトカムを生み出す、優れた実践プログラムの構築が期待される。
CD-TEP評価アプローチ法では、Rossiら(2004)のプログラム理論の枠組み、すなわち直接的に利用者との接触がある対人サービスプログラムに対する、プログラムと利用者との相互作用に重点を置いた枠組み(図A)に準拠して、その作成方法を定式化した。
プロセス理論組織計画は、サービス利用の標的集団(ターゲット)を同定して、その人たちにどのようにプログラムを提供し、より良い効果をもたらしたら良いかを、サービス提供組織の面から示したプログラムの設計図であり基本的なプログラム機能の指針である。
2. プロセス理論組織計画作成の手順
プロセス理論を含むプログラム理論の作成は、効果的プログラムモデルを発展・形成させるプロセスとともに進める。効果的プログラムモデルの設計図であるプログラム理論は、CD-TEP評価アプローチ法の図Bに示したように、らせん階段状に常により良い効果的なプログラムに発展・進化することが期待されている。ここでは、便宜的に「予備的プログラム理論(主に文献調査や関係者からの聞き取りなどによって暫定的に設定)」「第1次プログラム理論(実践現場の創意・工夫、改善点の反映を踏まえて構築)」「第2次プログラム理論(「効果的援助要素」の量的分析を踏まえて構築)」「第3次プログラム理論(プログラム関係者・利害関係者の合意形成、普及モデルの検討を通して形成)」(21-3-31)を設定する。
「予備的プロセス理論組織計画」(「予備的プログラム理論」)は、主に文献調査や関係者からの聞き取りなどによって暫定的に設定したプログラム理論である。GP事例に対する現場踏査調査を実施する際の面接票作成(T002)などのために暫定的に作成する。
「第1次プロセス理論組織計画」(「第1次プログラム理論」)は、「グッドプラクティス(GP)事例の現場踏査調査(21-3-14)」を中心に把握される、実践現場の創意・工夫、改善点の反映を踏まえて構築される。
「第2次プロセス理論組織計画」(「第2次プログラム理論」)は、「効果的援助要素」の量的評価調査の分析結果・エビデンス(23-4-25)を踏まえて構築される。
これに対して、「第3次プロセス理論組織計画」(「第3次プログラム理論」)は、当面の最終プログラム理論(24-1-31)であり、プログラム関係者や利害関係者の検討会(24-1-21、21-1-22)の合意形成を踏まえて、さらに普及モデルの検討(??31-2-21)を通して形成される。
3. 予備的プロセス理論組織計画の作成
「予備的プロセス理論組織計画(21-3-31)」は、「既存制度モデル・試行的事業モデルの実施要綱(21-3-11)」、「関連するEBPプログラム、ベストプラクティスプログラムの知見、文献調査結果(21-3-12)」、「プログラム関係実践家・利用者とのフォーカスグループ、意見交換会(21-3-125)」、さらには、「ニーズアセスメントの結果報告書(21-3-14)」「プログラムゴールと標的集団設定に関する報告書(21-3-15)」などに基づいて作成する。「予備的プロセス理論組織計画」は、GP事例に対する現場踏査調査を実施する際の面接票作成(T002)などのために暫定的に作成する。
4. 第1次、第2次、第3次プロセス理論組織計画の作成
「予備的プロセス理論組織計画(21-3-31)」に基づいて、「GP事例の現場踏査調査半構造化面接票、インタビューガイド(T002)」が作成され、現場踏査調査などによって、実践現場の創意・工夫、改善点など反映が反映されて第1次プロセス理論組織計画が作成される。
「第1次プロセス理論組織計画(21-3-31)」を含む「第1次プログラム理論」は、一定の完成度を備えたプログラム理論である。このプロセス理論サービス利用計画に依拠して作成される「効果的援助要素リスト(22-1-31)」「効果的プログラムモデルの実施マニュアル(22-2-31)」「効果的プログラムモデルのフィデリティ尺度(23-2-31)」を用いて行われる、多施設共同による試行的評価調査(23-4-14) の結果に基づいて、「効果的援助要素」の量的分析などが行われ、「第2次プロセス理論組織計画(21-3-31)」を含む「第2次プログラム理論」が作成される。
この改訂に当たっては、試行的評価調査のためのプログラムスタッフ研修会(23-4-17)や「フィデリティモニタリングにおける意見交換(22-1-142)」による「プログラム関係実践家・利用者とのフォーカスグループ、意見交換会(21-1-24)」が繰り返し行われる。この中で、「効果的援助要素」の量的分析だけでなく、「効果的プログラムモデル」を実際に実施して、実態に即した形で実践現場からの創意・工夫、改善点などが「第2次プログラム理論」に反映される。
「第3次プロセス理論組織計画(21-3-31)」を含む「第3次プログラム理論」は、プログラム関係者や利害関係者の合意形成を踏まえ、普及モデルの検討を通して形成される。
5. プロセス理論組織計画作成で重視すること
プロセス理論組織計画の作成については、一般的には、まずインパクト理論に基づいて、それを実現するプロセス理論サービス利用計画を考慮し、その上で、プログラムのサービス機能に対応させてプロセス理論組織計画を作成する。
なお、生活施設など利用者が生活する場で課題となるプログラムゴールの実現と問題解決のために、継続的に提供されるサービス機能の指針であるプロセス理論サービス利用計画(Ⅱ型)では、インパクト理論の作成後、組織計画を検討した後に、サービス利用計画を作成することが有効である(21-2-22)。
プロセス理論組織計画の作成に当たって、サービス利用計画が、プログラムの導入、実施、問題の解決・改善、終結・フォローアップが一連の時系列的プロセスで提供されるプログラム類型の場合(Ⅰ型)、以下の手順で整理する。
すなわち、①サービス利用計画のサービス機能をすべて列挙し、サービス機能類型ごとに整理する、②それぞれのサービス機能類型を提供する組織内の担当部門(セクター)を、管理部門といくつかの直接サービス提供部門ごとに整理・分類する、③組織内の担当部門(セクター)では対応できないサービス機能については、外部の支援組織を設定する、 ④以上の整理にリストアップされた組織内担当部門、および外部の支援組織の相互関係を図に整理して示す。
なお外部の支援組織については、効果的なプログラムを構築するためには、日本の現状として多くの場合、欠くことが出来ない要素である。②において無理に内部組織で対応する仕組みを作るのではなく、③において外部組織に、張り出したサービス機能を分担できるよう組織計画を作成する。
一方、サービス利用計画が、生活施設など利用者が生活する場で課題となるプログラムゴールの実現と問題解決のために継続的に提供されるプログラム類型の場合(Ⅱ型)、以下のことに配慮する。①コアプログラムを実施する内部実施組織と、側面的支援プログラムを実施する外部の技術支援組織(技術支援センター)に整理する、②内部実施組織としては、主にリーダー的スタッフ、直接的ケアスタッフ、研修・教育担当スタッフ、管理的スタッフ等を整理する、③外部の技術支援組織(技術支援センター)は制度的には存在しない場合もあるが位置づける、④上記の①~③の相互関係を図に整理して示す。
作成した「プロセス理論組織計画(予備的、1次、2次、3次)(21-3-31)」は、「関連するEBPプログラム、ベストプラクティスプログラムとの比較分析(21-2-23)」「組織的キャパシティ分析(21-2-24)」を行うとともに、「研究者間のフォーカスグループ、検討会(21-2-25)」「プログラム関係実践家・利用者とのフォーカスグループ、意見交換会(21-2-26)」を繰り返しながら、より精緻化された、関係者の合意が得られて、より実践的な理論に発展していく。
②関連するEBPプログラム、ベストプラクティスプログラムとの比較分析
③組織的キャパシティ分析
④研究者間のフォーカスグループ、検討会
「1) インプット」に示した、①~⑥を総合的に検討し、かつ「2) 検討方法」の①プロセス理論組織計画の検討、②関連するEBPプログラム、ベストプラクティスプログラムとの比較分析を踏まえて(研究班の検討会で議論)、プロジェクト研究班事務局がたたき台となるプロセス理論組織計画を提示する。
プロセス理論組織計画の事務局たたき台案において、課題となる点については研究者間でフォーカスグループを開催する。課題があいまいな場合はブレーンストーミング的なグループ発想技法を用いても良い。ホワイトボードを使用したり、プロジェクターに映写しながら、グループで出された意見をグループ内でまとめると良い。
⑤プログラム関係実践家・利用者とのフォーカスグループ、意見交換会
研究者間のフォーカスグループ、検討会でまとめられたプロセス理論組織計画案を、プログラム関係実践家、利用者、家族、行政関係者などの利害関係者に集まって頂き、グループ討論を行い、その内容を検討する。プログラム関係実践家・利用者とのフォーカスグループ、意見交換会の実施方法は、「Ⅱ1-1. プログラム理論の構築・再構築:インパクト理論」の「1) インプット③プログラム関係実践家・利用者とのフォーカスグループ、意見交換会(21-1-13)」に示した。
利害関係者のグループは、プロセス理論組織計画の作成当初は、プログラム関係実践家単独、利用者単独などで開催しても良い。最終的には社会的合意が形成されるインパクト理論を作成するために、多様な利害関係者からなるフォーカスグループ、意見交換会を開催して合意形成をはかることが望ましい。
3)アウトプット
①プロセス理論組織計画および改訂版(予備的、1次、2次、3次)の作成
1. プロセス理論組織計画作成・発展の手順
プロセス理論組織計画作成の手順は、「プロセス理論組織計画検討の手引き(21-3-21 )」に記載した。プログラム理論は、効果的プログラムモデルが発展するプロセスとともに、より精緻化され、関係者の合意が得られたより実践的な理論に発展する(CD-TEP評価アプローチ法、CD-TEP評価アプローチ法の図B)。ここでは、便宜的に「予備的プログラム理論(主に文献調査や関係者からの聞き取りなどによって暫定的に設定)」「第1次プログラム理論(実践現場の創意・工夫、改善点の反映を踏まえて構築)」「第2次プログラム理論(「効果的援助要素」の量的分析を踏まえて構築)」「第3次プログラム理論(プログラム関係者・利害関係者の合意形成、普及モデルの検討を通して形成)」(21-3-31)を設定する。
2. 可視化され、理解しやすいプロセス理論組織計画の作成
プロセス理論組織計画は、導入される社会プログラムが取り組もうとする支援機能を提供する支援組織とプログラム要素のあり方を明確に示す重要なプログラムの「設計図」である。可能な限り、実践現場や利用者・家族にも理解しやすいよう、可視化されたチャートとして作成する必要がある。
プロセス理論組織計画のサンプル図(チャート)は、(S006)に示す。
通常は、管理部門を左側に配置し、直接サービス部門を組織計画図の右側に配置する。直接サービス部門のうち、外部組織から提供されるものは最右側に配置する。
基本的には、直接サービス部門の配置は、サービス提供のプロセスにしたがって、左側から右側に配置する。
②プロセス理論組織計画の解説文作成の手引き
1. プロセス理論組織計画解説文の位置づけ
プロセス理論を含むプログラム理論は、社会プログラムが解決をめざす社会的問題と、解決すべきプログラムゴールを示すとともに、社会プログラムがどのようにその問題を解決に貢献するのか、プログラムの構成要素を示してその仕組みを理解しやすく多くの関係者に示すための社会プログラムの「設計図」である。このうちプロセス理論は、社会プログラムが解決をめざす社会的問題・プログラムゴールに対して、どのように対応しようとするのかについて、プログラムのサービス機能(サービス利用計画)と実施組織の仕組み(組織計画)を、論理的にかつ視覚的に分かりやすく示すことが求められている。
プログラム理論の解説文は、プログラムの実施に関わる実践家、プログラムの利用者・家族、そしてプログラムの実施に関わる利害関係者に対して、このプログラムに対する理解を促す目的で作成される。具体的には、次のものが考慮される。
- プログラム実施に関わる実践家に対するプログラム実施マニュアル
- プログラム出資者を含む利害関係者にプログラムに対する理解を促すパンフレット
- プログラム利用者・家族にプログラムに対する理解を促すパンフレット
それぞれの関係者に対して、プログラムの仕組みが良く理解できるように提示することが必要である。①~③に盛り込む内容はそれぞれ異なるが、プログラムのサービス機能とサービス組織に関わるプロセス理論は重要な要素であり、プロセス理論を含むプログラム理論が適切に理解できるように説明する解説文は重要な位置づけを持つ。
2. プログラム実施マニュアルにおけるプロセス理論サービス利用計画の解説文
CD-TEPプログラム評価法は、実践家に評価活動に参画して頂き、効果的プログラムモデルの形成をめざしている。このため、プログラムに関わる実践家に対して、効果的なプログラムモデルの骨組みととなるプログラム理論を分かりやすく、かつ論理的に伝えることは非常に重要である。
効果的なプログラムモデルの第1次プログラム理論(21-3-31)が作成された段階で、プログラムに関わる実践家のためにプログラム実施マニュアル(22-2-31)を作成する。その中には、主要な文書としてプログラム理論プロセス理論、およびその内容を適切に伝えるための解説文を掲載する。
プロセス理論組織計画は、通常、組織計画図(組織計画チャート)として示される。プロセス理論組織計画の解説文は、プログラムに関わる実践家に対して、この組織計画チャートにおいて示されている、以下の内容を分かりやすく、かつ論理的に記述する。
- プログラムが対象とする標的集団(対象層)に対して、適切にサービスを届けることができる組織が用意されているのか
- プログラムが解決をめざす社会的問題・プログラムゴールの解決のために、どのような創意、工夫をこらした取り組みを行うのか
- どのようなプログラム実施組織が連携しながらプログラムに取り組むのか
- 利用者本人を身近に支援する環境(身近な支援環境)に対する支援機能を、どのようにプログラムの中に盛り込んで支援するのか
- これらプログラムが、解決をめざす社会的問題・プログラムゴールの解決のために有効に機能する根拠
- これらプログラムが社会的に受け入れられる背景の説明。実践現場の創意・工夫、評価調査結果に基づく科学的根拠(エビデンス)、社会的合意形成の内容など。
第1次プログラム理論プロセス理論に基づいて作成するプログラム実施マニュアルの内容は、必要に応じて、効果的プログラムモデル実施研修会を開催して説明し、実践家からフィードバックを受ける。特に、プロセス理論サービス利用計画は実践家の多くの創意・工夫が発揮される領域である。多くのインプットが期待される。
第2次プログラム理論インパクト理論、第3次プログラム理論インパクト理論のそれぞれに対応させて、プログラム実施マニュアルを作成する。その中には、もちろんプロセス理論サービス計画チャート、およびプロセス理論サービス利用計画解説文が含まれる。それらの内容は、第1次理論、第2次理論の経験に基づいて、実践家にとってより理解しやすく、論理的なものに改訂する。
3. 利用者・利害関係に向けパンフレットにおけるサービス利用計画の解説文
CD-TEPプログラム評価法は、実践家に評価活動に参画して頂くとともに、プログラム利用者にも参加して頂き、効果的なプログラムモデルを形成することをめざしている。同時に、社会におけるさまざまな利害関係者の理解を得ながら、より効果的なプログラムを形成することを期待している。
プログラム理論組織計画は、社会プログラムがどのようなサービスを提供して、改善すべき社会的問題を解決し、プログラムゴールを達成するのかを、論理的に、かつ視覚的に分かりやすく示すものである。プログラム利用者にも、プログラムに関わるさまざまな利害関係者にも、そのプログラムを理解して頂くために不可欠な要素である。サービス利用計画を適切に理解できるように説明する解説文は重要な位置づけを持っている。
プログラム利用者やプログラムに関わる利害関係者に、プログラム内容を伝えるためのパンフレットに盛り込まれるプロセス理論組織計画解説文は、プログラム実践家に対するプログラム実施マニュアルに盛り込まれているプロセス理論組織計画解説文と比較して簡便なものになる。しかし、プログラム実施マニュアルに含まれる要素はある程度カバーする必要があるであろう。
特に以下の項目は、特に十分に説明する必要がある。
- プログラムが対象とする標的集団(対象層)に対して、適切にサービスを届けることができる組織が用意されているのか
- どのようなプログラム実施組織が連携しながらプログラムに取り組むのか
- 利用者本人を身近に支援する環境(身近な支援環境)に対する支援機能を、どのようにプログラムの中に盛り込んで支援するのか
- これらプログラムが社会的に受け入れられる背景の説明。実践現場の創意・工夫、評価調査結果に基づく科学的根拠(エビデンス)、社会的合意形成の内容など。